2005/9/27 recipe 27th レポート. 場所を1Fの喫茶店「ミロ」に移して行われた第一回の勉強会. 小宮くんがレポートでネタを提供、それについてみんなでお酒を飲みながら話をしました.
ルイス・カーンといえば、言わずと知れた近代建築の巨匠の1人. コンクリートの打ちハナシの仕上に木、石、レンガなどの素材の組み合わせ、幾何学的なプラン、丁寧な光と開口部の扱いなど、非常にカッコイイ建築を数多く残した建築家ですね. 日本で大変に人気のある建築家です. 安藤忠雄さんはコルビジェとよく口にしますが、あの打ちハナシコンクリート表現はやっぱりカーンなんでしょう. キンベル美術館、イェール大学アートギャラリー、リチャーズ医学研究所、ソーク生物学研究所、そしてインドのIIMやダッカの議事堂などの名作は建築やっている人なら誰でもしっているところ. 椅子や照明のデザインはしていないので、もしかしてインテリア関係の人には馴染みが薄いのかもしれません. また、カーンは遅咲きの建築家で(たしか50を過ぎて有名になった)私のような弱小建築家に勇気を与えてくれる建築家でもあります. 個人的な人生を見ると、最後はペンシルバニアの地下鉄の駅で死をとげおり、また正規の?家庭の他に2つくらい家庭があって子供もいたとかという話や、構造家とやりとりなど、話題の豊富な人でもあります. そのいくつかの家庭の息子のひとりがつくった父親探しの映画「My Architect」があるそうです. 日本でもやると言われていますが、まだやっていないようですね. 見たいです.
さて今回はのレポートは『Louis I.Kahn Houses—ルイス・カーンの全住宅:1940‐1974 』(斉藤裕 文・写真/TOTO出版)をもとに、カーンの住宅に焦点を当てました. カーンは生涯50軒ほどの住宅を計画しており、忙しい中でも決して住宅の設計は断らなかったということです. そのうちの9軒が実現、エシェリック邸やフィッシャー邸などの名作があります. 計画のわりに実現しているのが少ないですが、例えばフィッシャー邸は完成までに7年の歳月を要しており、普通の人では当然付合いきれなかったのだと想像します. しかしその結果残ったものは写真を見るだけでもため息のでるような素晴らしいものです. しかもフィッシャー邸はキンベル美術館とほぼ同時期に設計されており、その大忙しの時期に、どうしてそこまでできるのか不思議に思います.. 本には多くの図面が載っています. 図面をみるとその密度のたかいこと. 私たちも住宅の設計をするのに気を引き締めていかないとな、と思わせるほどの密度の高さです. おそらく日本よりも雨の少ない地域でしょうが、窓まわりの水切等までキチンと処理されています. この辺のディテール も建物を長もちさせる秘訣でしょう. 住宅でも大規模な建築に通ずるアイディアが沢山あります. 「サーブドスペース」と「サーバントスペース」は「リビングブロック」と「スリーピングブロック」として明解なプランニングに反映されていますし、建物の内外を結ぶ中間領域、開口部の扱い、素材の組み合わせなどもそうです.
私自身はカーンの建築をほとんど見たことがありあません. ただひとつだけもう10年も前ですが、インド・グジャラート州にあるIIM(インド経営大学)を見たことがあります. 大学内には図面を管理しているアーカイブのようなところがあり、そこへ行って配置図をもらい、キャンパス内を歩いたのを思い出します. 敷地の中に幾何学的な建物が配置されています. 学生寮などは三角形のプラン. これがどのように収まっているのか不思議でしたが、歩いてみるとなんの違和感もなく、建物の隙間でさえ考えられている、と思わせるほど配置の計画はぴったりでした. 素材はインドでの施工性を考えたのでしょう、よく使われているレンガにコンクリートを組みわせる方法を選択しています. 日差しの強い土地ですから、堀の深い、あるいは2重の開口部を作っています(ダッカもそう). ときおりスリットから差し込む光り. どれもがきれいで動かしがたい印象をもったのを覚えています. 明解な幾何学的平面(と、もちろん考え方)で設計がしてみたい、と思ってしまいます. それにしてもプランをみるだけで美しい. 写真を見ていても飽きない.(ケンチクオタクのつぶやき).
カーンの残した言葉は難解な言葉が多いと言われていますが、家に関してこんな言葉も残しています.
空間の本質はどんな建物でも同じである.
空間の始まりを見つけだす.そこには人が暮らし、集う場所がある.
まさに「家」は建築の始まりを意味するものである.
カーンの建築のもつ美しさと優しさは、この辺に理由があるのかもしれません.
大庭明典(大庭建築設計事務所)
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